光明の広海
ある日の昼食後のことです。
最近とても元気な男性の利用者様が、フロア内のテーブルを掻き分けるように歩行器で歩いていました。
その姿を見ながら、最近あまり歩く機会を作れていない女性の利用者様と
「暖かくなってきたし久しぶりにちょっと歩いてみましょうか」なんて話をしていました。
すると、その隣に座っていたはー様から
「歩く練習(そんな大層なものではないのですが・・)って誰でもできるんですか?」と質問が。
「みんながやる訳ではないですが、必要や希望がある方はやっていますよ」とお返事をしました。
「申込みは必要なんですか?」「特にはないですよ」
すると続けて「私もやりたいです!歩きたいです!」と申し出がありました。
はー様からこんな言葉が聞けるなんて。正直、とても驚きました。
はー様はデイサービスに通い始めて丸1年になります。
約1年前に急に身体の自由が利かなくなり、デイに通い始めた頃から車イスでした。
当時は本当に、寝たきりに近いような状態でした。
正直、場所が違えば機械浴、オムツ、食事介助になっていたと思います。
普通のお風呂に入る。
普通にトイレに座って排泄をする。
普通に自分でご飯を食べる。
そんな基本的な生活をできるように支えさせていただいて、はー様の心も身体も呼応してくださり、
1年かけて少しずつ良くなってきました。
と言っても、歩くことができるかというと今もまだ現実的ではない状況。
でも、この気持ちを逃したくない。萎ませたくない。
ならば、まずは前段階の立ち上がりからチャレンジを!
ということで、平行棒を使っての立ち上がりをしてみることに。すると
・・・自分で立てた!しかもそのまま20秒も立っていられた!
多少足場を整えたり、少し身体を支えたりはしたものの、ほとんど自力でやれていました!
「えへへ、自分で立てました!このまま続けたら歩けるようになりますかね?」
いつも笑顔が素敵なはー様ですが、今日はその笑顔がよりいっそう輝いて見えました。
あるがままを受け止めていくことはとても大切です。
その一方で、“良くなること”がお年寄りにとって大きな希望であることも事実です。
はー様が口に出してくださったこの希望を、私たちも一緒に追っていきたいと思います。